『レオロジー』とは何ぞや?
『レオロジー』は言葉や概念が難しく、なかなかとっつきにくい学問でもありますが、レオロジーで扱われる現象というのは、案外身近な現象が多いんです。そこで、そんなレオロジーについて、少し噛み砕いて説明していきたいと思います。
まずは「粘度」の概念について考えてみましょう。
レオロジーを理解する上で重要なことの1つに「粘度」があります。一般に粘度とは、液体(流体)の流れにくさを表すもので、粘度の高い物質は流動させるために大きな力を加える必要があり、粘度の低い物質はわずかな力で流動させることが可能です。
例えば、コーヒーと蜂蜜をそれぞれコップに入れてコップを傾けたとき、重力により粘度の低いコーヒーはすぐに流れ出ますが、粘度の高い蜂蜜はなかなか流れ出てきません。
つまり、このとき粘度は【コーヒー<蜂蜜】となります。
では、蜂蜜とマーガリンでは、いったいどちらの粘度が高いのでしょうか?
さきほどと同じように、マーガリンと蜂蜜をそれぞれコップに入れて傾けた場合は、蜂蜜は流れ出しますが、マーガリンはコップの底でその形を保持したままで、流れ出ることはありません。しかし、ナイフでトーストに塗るときは、マーガリンも蜂蜜も同じくらいの力で塗ることができます。さらに、蜂蜜とマーガリンを同じ分量ずつ、それぞれボウルに入れ泡立て器でかき混ぜたとすると、マーガリンは案外小さな力でかき混ぜられますが、蜂蜜をかき混ぜるにはかなり大きな力が必要になります。
ということは、粘度は【蜂蜜<マーガリン】、であり【蜂蜜=マーガリン】であり、【蜂蜜>マーガリン】でもあるのです。
これは、マーガリンはかける力によって粘度が変化しているからなのです。
レオロジーでは、前述のコーヒーや蜂蜜のように、与える力によって粘度の変わらないものを「ニュートン流体」といい、マーガリンのように与える力によって粘度が変わるものを「非ニュートン流体」といい、区別しています。
例を上げると、水、食用油、水あめ等は粘度の違いこそあれ、ほぼニュートン流体ですが、ケチャップ、マヨネーズ、ヨーグルト等は非ニュートン流体にあたります。